重要な二択

投稿者: Ιωνάς 投稿日:

「私は宗教なんて信じない」と判断している現代日本人は多いであろう。これはある意味では尤もな考えで、私も同意する部分が大きい。つまり宗教はビジネスとしての顧客を、既に死にたいような傷を負っている人々に設定していることが多いため、ある宗教の教えが「死んで見たら実は間違っていた」のであれば、これは数ある悪徳商法のなかでも、さらに悪質であるといわざるを得ない。

また、宗教家と呼ばれる立場にある人はこの「持たざる者からの搾取」を自分のビジネスとして行っていることになる。そのような、宗教家による弱者からの搾取構造のうえに生活の糧を得ていながら、そのことに無自覚であるような宗教家は社会にとって不要である。

また反対に、もちろん口には出さないが、教師としての宗教家が教え・諭し・戒めを与える対象であるはずの信徒を、経済的な意味での客であると理解するリアリズムの立場から、妙に下手に出ることもあり得る。このような宗教家が顧客に戒めを与えるのは、それが自分のビジネスに影響を与えるような場合である。

宗教家も一つの職業であるため、彼らが顧客に対して抽象的な憐れみや愛などを持つだけでは十分でない。むしろ十分な期間訓練を受け、具体的な教理的な知識、伝統・歴史をそこから教訓を汲み出して語る能力、あるいは人格的な魅力などの特徴のうち、何かに傑出し、あるいは総合的に恵まれた適性があると、他人から判断される者が、その座につくべきである。

このように考えると、基本的には職業教師は自薦でなく他薦を基にその人選が行われるべきであろう。つまり、謙虚だが適性がある人は教師にならず、その立場に就く強い意志があるが適性のない人が教師になる可能性も存在するのである。


長くなったが、新興宗教だけではなく、既成宗教・伝統宗教に対しても、ツッコミどころは限りなく存在する。今後のコロナウイルスの状況次第でこの構造的な問題は変化を余儀なくされるであろう。


そのような現代宗教の構造的な問題とは別に、あなたの存在がある。私たちは生まれたいから生まれてきたのではないかもしれないが、生まれた以上、背後世界的な問いに対する答えを、瞬間ごとに持っていることさえ無自覚である。

しかし、自分なりの答えは原理的に全員が所有している。例えば死を前にした病人はよりこの点に強く関心を抱くであろう。この文を読んでいる人は、「私は生活するのに精一杯で、そのようの背後世界についての選択を自分が行っていることさえ知りませんでした」と言い訳することはできない。

このような根本的な事項について、現代科学はほとんど何も分かっていないに等しく、またこの宇宙の存在理由を今後説明できる可能性はほとんどないに等しい。科学はそれ自身が研究すべき残された課題の全量さえ把握することができないのである。

そして、無自覚的にでも科学的無神論を正としてしまえば、それは希望のない、「ランダムな存在として私」を認めることになる。ここにおいて、私は意味もなく生まれ、意味もなく死んでいくという結論が不可避的に帰結される。

しかし、科学的無神論や、そこから大きな影響を受けている現代の常識に従って、死後の世界をほとんど無意識的に、考慮に値しない論点であると否定することが落とし穴である可能性はかなり高い。

つまり、私たちは現代思想、現代科学、現代社会の常識を信じるのか、あるいは超自然的なものに自分を賭けるかのどちらを選ぶかについて原理的に立場を決めざるをえない存在なのである。

しかし、その賭けは信仰者だけが行っているものではない可能性がある。つまり、実は全人類がそれぞれの一生を通じて行うこの賭けに、不可避的かつ無自覚に参加させられている可能性がある。

思うに、道徳的であるとは思えないような人ほど、人生が何度も繰り返されるなどと語っていたりする。しかし、このような考えを保証するものはどこにもない。

また、なぜある人には、自分の行為が現実に人を傷つけなくても、良心の痛みを感じることがあるのか。進化論仮説の立場から、他人へ迷惑をかける個体は生き残れなかったと語るだけで全て説明できるとは思えないし、この説明自体が仮説の一つにすぎない。凡そ自然科学は、仮説を自称しようと、法則を自称しようと、理由の説明という領域においては、全てが仮説にすぎなく、この領域は科学の本分ではない。

自分の良心に照らして、この不可避的なギャンブルへの無意識的な参加という構造についての可能性を考える必要がある。そして、この点を考えることを、必ずしも死を前にするまで保留する必要はなく、また必ずしも困窮に喘ぐまで現状の生き方を続ける必要もないのではないか。尻に火がつけられるのを待つ必要はないのである。

カテゴリー: 人間論

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